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予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

 イグ・ノーベル賞 受賞者ダン・アリエリーさんの著書

 

行動経済学の本ですね

 

 ダニエル・カーネマンさんの

 

「ファスト&スロー」が

 

投資や経済活動につながる

 

真面目な( といっても超面白い!!)本ならば

 

 こちらは デートやチョコレート

 

エッチなことまで網羅した行動経済学!!

 

 

 この分野の本は面白いです

 

読みながら 自分を被験者にして実験ができるのです

 

表や図を見ながら テストをおこない

 

認知の仕組みを体験しながら 読み進めます

 

 

 引っかかるんですよ

 

目次に 何を解説しているところか 書いてあるのに

 

自分の選択に「あれ?」とも思わず

 

バイアスのかかった答えをしている・・・

 

 なんだか 難しそうな

 

行動経済学とかいうものが書かれている本を

 

読もうという気が起きないということもあるでしょう

 

 しかし 最初から引き込まれることは確実です

 

「はじめに」に描かれている

 

著者ダン・アリエリーさんの

 

若かりし頃の体験は想像を絶するもので

 

「わたしは、人とはちがったふうに世界を見ているらしい」

 

という言葉にも説得力があります

 

  読者は 「人とはちがったふう」な視点を追体験することで 

 

当たり前のように在った物事に疑問をもつことになります

 

そして その仕組みを学び ひとつ知識が増えるのです

 

 

 例えば 第3章

 

ゼロコストのコスト なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか

 

 リンツのトリュフ(高級!!) と ハーシーのキスチョコ(普通)

 

による実験を通して解説してあります

 

 「ある大学の構内で

 

 リンツが1個 150円 ハーシーが1個 10円 で販売されました

 

 その場合の販売割合はリンツ 73%  ハーシー 27%

 

 

 

 リンツが1個 160円 ハーシーが1個 20円 でも 同じ割合 

 

 

 

 その後 リンツ と ハーシーの値段を10円づつ上げ

 

 リンツが1個 240円 ハーシーが1個 100円 となっても

 

 割合はほとんど変化しませんでした

 

 

 

では リンツが1個 140円 ハーシーが 無料! なら?

 

 

 

 ふつうの経済理論(単純な費用便益分析)では 

 

150円から140円 と 10円から無料! では

 

値下げ幅が同じであるために 割合は変化しないはずです

 

 しかし 結果は・・・

 

  リンツ  31%  ハーシー 69% ・・・」

 

当たり前じゃん と思われるかもしれませんが

 

 行動経済学が発展するまで 

 

当たり前ではなかったんです 

 

 

 経済理論では 人間は合理的 だったのです

 

リンツ1個 140円 と ハーシー1個 無料! では

 

  リンツ  73%  ハーシー 27% 

 

という割合になるはず という常識がまかり通ってきたのです

 

 

 こういう面白い実験をいろいろやったんですね

 

その面白い実験ばかりが注目され 

 

イグ・ノーベル賞受賞」にいたったわけです

 

 

 

  ただ この本には 残酷な現実も描かれています

 

アメリカのCEOたちの報酬が異常に高いのは何故か

 

・地方医師が少ない理由

 

・裁判官はいつも公平なのか

 

・あらゆる値段の根拠 

 

 私たちの日常に直接関係してくるものの価値

 

 それが ”こんな事で決まっている” という恐ろしさ

 

悪意なく決められている ”常識”

 

気が付かないままなら こんなに怖くはなかったのでしょう

 

 

 

 しかし 最後には教訓が示され 救いがあります

 

行動経済学には 自分の身を守る術も含まれているのです

 

 

 

 

 

 プラセボ薬のエピソードはダン・アリエリーさんらしいwww

 

 

   

 

  予想通りに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

 

                       ダン・アリエリー著

 

                           熊谷淳子訳

 

                 ハヤカワ・ノンフィクション文庫

 

                      本体価格 900円